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2012年9月

人形と花と魔術師(4)

 この世のどこかに。
 海の中にぽつんとある、小さな島かもしれない。
 はたまた、砂漠の中にあるオアシスかもしれない。
 しかし、存在していると言われている花がある。
「それが、枯れぬ花」
「枯れぬ花、とはどういうことですか? 花は、枯れるものだと伺いました」
「そう、そのように教えた。しかし、この世の中には常識すら覆す事象が存在する事がある」
「それが、枯れぬ花だと?」
「そういうことになるね」
 エイシュは考え込む。
 自分なりに答えを出そうとするものの、納得が行ってない様だ。
 ティルトは思わずくつくつと笑う。
 常識を覆す事象を一つも知らぬのだから、分からなくとも仕方ない。
「……エイシュ、どうして小鳥を見つけることが出来た?」
 え、と虚をつかれたようにエイシュは顔を上げる。
「いつも行く、水汲み場の近くに落ちていたからです」
「そこに、いつも小鳥はきていたかい?」
「いいえ。パンくずをもらいにそこの窓にくるのが殆どで、水汲み場では見たことがありません」
「小鳥は、お前に己の亡骸を見つけて欲しかったのではないか? いつもお前が水汲み場に行くことを知っていて」
「小鳥に、私の行動を理解していたと?」
「常識で考えれば、小鳥がお前に会おうと思えば、その窓にくるだろう。パンくず目当てだからね。しかし、小鳥は水汲み場にいた」
 エイシュは再び考え込む。
「……それが、常識を覆す、と言うことですか?」
「小難しく考えれば、そうだろうね。小鳥は、我々が想像する以上に賢い生き物であるからね」
「なるほど、つまり、小鳥は常識を覆す行動をした。それは常識が覆るという事実をも証明したため、枯れぬ花も存在するかもしれない、というのですね」
「お前は、小難しく考えるな」
 くつくつと、ティルトは笑った。
 その通りではあるのだが、何故か堅苦しい。
「永久というものは、存在しないのかも知れぬ。だが、存在するのかも知れぬ。難しいね」
「ティルト、それは矛盾しています。先程、存在しているのかもしれないと」
「私の中では矛盾していないんだ」
「まさか」
「そうだね、不思議だろう? 宿題だ、エイシュ。この矛盾、矛盾ではないと考えてごらん。理由を、見つけてごらん」
「存在するのですか?」
「もちろん」
 エイシュは、唸るように考えている。ティルトは優しく微笑み、エイシュの頭を撫でる。
 手が震えている。
 最後は、案外近いのかもしれなかった。

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ううむ、久々すぎて申し訳ない。
あとちょっと、なんですが。あとちょっとです。

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CD促進販売絵を戴きました

Harukasankara_2

東晴夏さんから、CD促販絵を戴きました。
良いでしょ、可愛いでしょ、良いでしょ! という自慢です。
可愛らしいKAITOさんと、卵を有難うございます。ウフフ。大好きです。
(どさくさにまぎれて告白)

CD通販、お申し込みを戴きまして有難うございます。
ちまちまと作っております。
発注いただいたら作りますので、宜しくお願いいたします。
売り切れとかはないので、お暇な時などご確認ください。
印刷用紙がなくなったら、発送にお時間を戴きますけれど。サーセン。

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